私の将来の義母キャロル・オルソンは、サンフランシスコのベイ・エリア郊外で5人の子どもを育てながら、40年間でフォルクスワーゲンを合計9台運転してきた。彼女は昨年、10台目のクルマとしてターボディーゼルエンジン搭載の1999年型ジェッタを中古で購入したが、まだガソリンスタンドに給油に行ったことがない。週に一度昼下がりに、自宅のあるラファイエットの飲食店向け業者の店で、愛車のガソリンタンク用にキャノーラ油を購入しているのだ。
キャノーラ油19リットルで20ドルである。ガソリンスタンドで給油するよりも割高だが、「市内のドライブでは1リッターあたり13.6キロ走れるわ」と、キャロルは言う。「それに、アメリカ人は石油をたくさん使うという、罪悪感が多少なくなったわ」。割高でも19リットル缶を買う方が簡単だが植物油を卸値で買って自宅に保存する方がよい。
政治的な話はさておき、環境に優しい市場が拡大する中、キャロルはその先端を走っている。彼女のジェッタはドイツから来た専門家にディーゼルエンジンの取り付けを頼んだ。また、別の“菜食主義の車”の持ち主の中には、レストランの廃油を手に入れて何度も濾過したものを、ディーゼルエンジン搭載に改造した愛車に給油している人もいる。
キャノーラ油以外で実用化されつつある代替燃料としては、植物油からグリセリンを除いて、ディーゼルエンジンに使用できるバイオディーゼル燃料がある。このバイオディーゼル燃料を小売りするガソリンスタンドはアメリカ中に出現しているが、純粋なバイオディーゼル燃料とバイオディーゼル燃料にガソリンを混合した燃料を扱っている。カントリー歌手のウィリー・ネルソンが自分のブランドであるバイオ・ウィリーという名前でバイオディーゼル燃料を売り出しており、ダラス郊外のカールズ・コーナー・トラックショップで購入できる。彼の会社は自動車用品販売業者と提携して、全国150カ所でこの燃料を販売しようと計画している。
代替燃料の中で最も一般的な組み合わせはガソリンと電気であり、ハイブリッド車の市場を拡大する要因となっている。2005年には、フォード社からハイブリッドSUVを含む7種の新しいハイブリッド車が登場し、10車種近くがさらに登場する見込みである。引退間近の筆者の両親もハイブリッド熱にかかり、ヒューストン高速道路を走る軽トラックとSUV、それにトヨタプリウスのどれにするかを現在検討中だ。2005年に入ってから、ガソリンが3.8リットルあたり2ドルとなったため、彼らはハイブリッド車の選択が正しかった感じている。
キャロルにとって、1缶19リットルのキャノーラ油は愛車のガソリンタンクまで運ぶには重すぎるので、ガーデニング用の缶に手際よく小分けし、バラに水をやるようにそこからガソリンタンクに入れている。キャロルの台所に入ると、ボールの上にキャノーラ油の入った水差しが置いてある。彼女は愛車の燃料の残りをサラダドレッシングにしているのである。
「私にとって気持ちよいものは、車にとってもよいのよ」と彼女は微笑んで言った。