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燃料電池


未来のエネルギー源

 専門家の多くは、私たちが現在使っているあらゆる電気製品の電力供給源として、燃料電池が普及する日はそれほど遠くないと考えているようだ。燃料電池は、自動車や懐中電灯に使用されているバッテリーと同様に、化学エネルギーを電気エネルギーに変換する水素などの燃料と酸化剤を利用して電気化学反応を起こし、電力を発生させる仕組みだ。

 燃料電池は、電解質と2本の電極という基本的な構造はすべてに共通しているが、使用する電解質の種類によって数種類に分類される。燃料と酸化剤の組み合わせもさまざまだ。燃料の例としてはディーゼルやメタノール、酸化剤の例としては空気や塩素、二酸化塩素などが挙げられる。しかし、現在開発されている燃料電池では、水素と酸素の組み合わせが多い。

 燃料電池の用途は主に3つある。輸送用、携帯用、施設用である。

 現在販売されている自動車の大半は石油燃料で走行するが、将来的には水素を燃料とする燃料電池で走行する電気自動車が普及するだろう。現在、自動車メーカーの多くが、輸送用燃料電池技術の研究開発を積極的に進めているところだ。

 施設用燃料電池は、最も大きく、最も強力な燃料電池である。病院や銀行、空港、軍事基地、学校、住宅などの大規模施設における自家発電などを目的に開発が進められており、クリーンかつ信頼性の高い電力源として設計されている。

 燃料電池は、電池で稼働する携帯機器や機械であれば、たいていは利用可能だ。寿命が限られている一般的な電池と異なり、燃料電池は燃料と酸化剤を供給する限り、エネルギーを生成し続ける。そのため、携帯用の燃料電池はノートパソコンや携帯電話、ビデオカメラ、補聴器などへの利用が期待されている。

 燃料電池には、発電所や自動車に利用されている既存の燃焼技術に勝るメリットがいくつかある。まず、燃料電池が排出する温室効果ガスは、石油燃料の燃焼によって排出されるガスよりもはるかに少なく、光化学スモッグを引き起こしたり、人体に有害な大気汚染物質を発生させることもないことだ。特に、純水素を燃料とした燃料電池は熱と水分しか排出しない。また、水素を燃料とする燃料電池は、既存の燃焼技術に比べて、はるかにエネルギー効率が高いこともメリットだ。

 燃料電池にとって現時点での最大の課題はコストだ。技術革新が急速に進んでいるとはいうものの、燃料電池はコスト面ではいまだに、既存のエネルギー技術に太刀打ちできない。水素は宇宙に最も豊富に存在する元素だが、その貯蔵や供給は困難を極める。純水素タンクは業者から簡単に入手することができるが、既存のガソリンスタンドを水素供給施設として流用することは不可能である。

 しかし、多くの家庭で使用されている天然ガスやプロパンガスを利用した燃料電池への燃料供給は、将来的に実現可能だろう。液体燃料であるメタノールは、ガソリンのように容易に輸送できるため、輸送用燃料電池の燃料として使用できる可能性が高い。しかし、メタノールはガソリン同様に、汚染を引き起こす二酸化炭素を排出するため、使用が問題視されている。


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