ヤマアラシは、齧歯(げっし)類の中で最もトゲが多く、学名は「トゲブタ」を意味する。20以上の種が存在するが、どのヤマアラシも敵に捕食を思いとどまらせるような針状のトゲに覆われている。アフリカタテガミヤマアラシのトゲは長さ30センチ近くもある。
ヤマアラシの体毛は柔らかいが、背中やわき腹としっぽの部分には、針のような固い毛が混ざっている。普段はこのトゲを寝かせているが、危険に遭遇すると、威嚇のためにトゲを逆立てる。トゲは先端部が鋭く尖っており、表面は突起に覆われ、ほかの動物の皮膚に刺さると抜けにくい。体からトゲが抜け落ちると、新しいトゲが生え変わるようになっている。かつてヤマアラシはそのトゲを飛ばして敵を攻撃すると考えられていたが、実際はそのようなことはなく、そのトゲは触れると簡単に体から抜け落ちる。
南北アメリカに生息するヤマアラシは木登りがうまく、多くの時間を木の上で過ごす。中には木につかまるのに適したしっぽを持つものもいる。米国とカナダに生息するカナダヤマアラシは、ヤマアラシの仲間の中で最も体が大きく、3万本以上の針を持つ。食欲が旺盛で、大きな前歯を使って大量のエサを食べる。野生の木の皮や茎を食べるが、キャンプ場に侵入してカヌーのパドルをかじることもある。果物や木の葉、植物の芽もエサにする。ほかの種類のヤマアラシはアフリカ、ヨーロッパ、アジアに見られ、砂漠や草地、森林に生息し、通常は地上で生活する。
メスのヤマアラシは、種類により1〜4匹の子どもを産む。生まれたときはトゲが柔らかいが、数日で硬くなる。子どものヤマアラシは、生後約2カ月で独り立ちできるようになる。