クロアシイタチの顔は、強盗が「手をあげろ!」というときにつけているマスクのようで、目の周りがアザでも作ったように黒くなっている。また、前足、うしろ足、しっぽの先も黒く染まっている。
クロアシイタチは単独で活動し、メスは5月または6月に1〜6匹の子どもを産んで単独で育てる。子どもたちは秋までに独り立ちする。イタチ類独特の細長い体をしており、主要なエサであるプレーリードッグの巣穴を出入りできる。リスなどの齧歯(げっし)類をたまに捕食することもあるが、主食はプレーリードッグだ。食欲旺盛で、プレーリードッグの巣の中まで入り込んで狩りを行い、主のいなくなったところを自らのすみかとして利用する。
20世紀、プレーリードッグの数が激減し、生息地からその姿が消えた。地下に広がる巣穴が畑や牧草地に悪影響を与えるといって、政府の支援を受けた農家や酪農家が、多数のプレーリードッグを駆除したのである。その過程でクロアシイタチは絶滅しかけた。そこで1987年、野生の18匹が捕獲され、人工繁殖が始められた。それ以来、彼らの生息に適している西部の地にクロアシイタチを野生復帰させている。
野生復帰に向けた努力には、矛盾が生じた。クロアシイタチの集団が生き延びるためには、十分な数のプレーリードッグが生息していることが必要だが、そうすると、イヌワシやフクロウ、コヨーテなどの捕食動物の脅威にも直面することになる。野生復帰した動物はサバイバル能力に欠けているため、死亡率が高いのである。また、プレーリードッグとその生息地を頼りに生きるクロアシイタチにとって、プレーリードッグの持つ病気も大きな脅威となる。