海に生息する腹足類のナンヨウタカラガイは、その明るいオレンジ色の殻から「golden cowrie(金色のタカラガイ)」という英語名が付けられた。世界中で250種が確認されているタカラガイの中で最も大きく、殻長は10センチに達する。南太平洋の岩礁のすき間や割れ目などにひっそりと生息しており、見つけにくい。岩陰から出るのは夜に海綿や藻を食べるときだけだ。
卵型で、細い開口部のある面は平らである。ほかのタカラガイと同じく、殻の表面は滑らかで磨かれたような光沢がある。移動する際には、明るい色の外套膜で殻のほぼ全体を覆い、殻表面を保護する。
南太平洋地域では、ナンヨウタカラガイの殻を貨幣や宗教的なシンボルとして使ってきた。フィジー諸島では、地位や身分を表すしるしとして、首長がネックレスにして身に付けていた。殻は貝の中でも最も硬いものの1つであり、収集家に珍重されている。残念なことに、生息地の破壊や乱獲によって野生の個体数は減少している。