シードラゴンは地球上で最も凝った擬態をする生物だ。葉の形をした薄くて軽い付属器官で体全体が覆われており、すみかにしている海草や昆布に完全に同化する。
タツノオトシゴやヨウジウオの近縁種であり、リーフィーシードラゴンとウィーディーシードラゴンはオーストラリアの南と東の沖合にのみ生息する。リーフィーシードラゴンの体の色は茶色から黄色で、付属器官は目立つオリーブ色。一方、ウィーディーシードラゴンには、派手な突起はなく、体の色は赤みがかっていて黄色の斑点がある。
シードラゴンの鼻は非常に細長く、細い胴は環状の骨で覆われている。細い尾を持つが、ほかのタツノオトシゴ類と違っているのは、尾でなにかにつかまることができないことである。小さく透明な背ビレと胸ビレを不器用に動かして水中を移動するが、海草のように波に漂い海流に流されることを楽しんでいるようにも見える。リーフィーシードラゴンは通常35センチほどになるが、ウィーディーシードラゴンは少し大きく、最長で45センチ以上に成長する。
タツノオトシゴと同様、シードラゴンもオスが卵を孵化させる。タツノオトシゴのような袋はないが、尾の下にスポンジ状の育児嚢があり、交尾の際、メスはそこに鮮やかなピンク色をした卵を産み付ける。オスが卵を孵化させ、約4〜6週間後に稚魚を海に放つ。
アミやフナムシなどの小さな甲殻類をエサにしている。ほかの生物に捕食されるかどうかは分かっていない。しかし、ペットとして飼う目的で、ダイバーによって頻繁に捕獲されている。実際に1990年代初めまでに捕獲による個体数の減少が深刻になり、オーストラリア政府は両種のシードラゴンに対して完全保護政策をとった。汚染や生息地の消滅によっても個体数は減少しており、現在、シードラゴンは準絶滅危惧種として登録されている。