雪のように白いコハクチョウは北極で繁殖し、何千キロも渡って北アメリカの大西洋沿岸や太平洋沿岸、湾や湖で冬を過ごす。東側の群はワシントンD.C.のチェサピーク湾やノースカロライナに集まり、西側の群は主にカリフォルニアで冬を越す。これらのコハクチョウは毎年2回、およそ6000キロにもおよぶ気が遠くなるような旅をする。また、コハクチョウの亜種はヨーロッパやアジアでも越冬する。
コハクチョウはしばしばナキハクチョウと間違われる。たしかにこの2種は外見がとてもよく似ているが、鳴き声で簡単に区別することができる。コハクチョウは水面で冬を越し、浮かんだまま眠る。力強い泳ぎで助走して空中へと飛び立ち、羽を打ちつけながらバシャバシャと水面を渡る。
コハクチョウの巣は大きな枝でできており、内側がこけや草で覆われている。巣は池や水源に近いところに作られる。水面下に頭を突っ込んで水生植物、塊茎、根などを引っぱってエサをとるほか、貝類や農地で見つけた穀物やとうもろこしなども食べる。
つがいは生涯つれ添うと考えられており、繁殖前にほぼ1年をかけてつがいになる。越冬地では巨大な群れを形成するが、繁殖期には個々のつがいがツンドラ一帯に分散して繁殖する。それぞれのつがいはおよそ2平方キロメートルの縄張りを守っている。
メスは通常4つの卵を産んで32日間温め、オスは巣を守るとともに、寒さや貪欲な北極に生息するカからヒナを守る。コハクチョウは興奮すると攻撃的になることがあり、キツネやトウゾクカモメからの攻撃をかわすことができる。
北極の気候の気まぐれな変化、特に早すぎる冬や遅い春がヒナを危険にさらすことがあるが、コハクチョウの個体数自体は安定していて、管理下でスポーツ狩猟が行われる地域もある。