ハシブトウミガラスは飛ぶよりも泳ぐほうがより遠くまで移動することができる。ハシブトウミガラスはその太くて短い羽を使って水中を飛ぶように泳ぎ、通常100メートル以上潜水する。時には魚やイカ、甲殻類などのエサを求めてその2倍の深さにさえ潜る。もっとも、飛べないわけではなく、離陸は不恰好だが、1度飛行すると時速120キロで飛ぶことができるのだ。
頭と背中、そして羽を黒い羽毛が、そして胸と内側を白い羽毛が覆うこの水鳥は、北極海やその周辺に生息する。夏にはアラスカ、カナダ、グリーンランド、スカンジナビア、そしてロシアの岩場の多い海岸で繁殖する。繁殖時期ではない冬には疎水域から離れ、ノバスコシアの南方やブリテッィッシュ・コロンビアの北方の海で暮らす。また、グリーンランド沖や北ヨーロッパ、そして太平洋南方から北日本などでも冬を越すことがある。
ハシブトウミガラスは巣を作らない。その代わり、メスは仲間たちの大きく騒々しいコロニーに加わり、狭い絶壁の岩礁に1つの卵を産む。卵の近くに小石やがれきを糞で固め、大きな卵が押されて岩礁から転げ落ちないように出っ張りを作る。卵は30〜35日間で孵化する。つがいはヒナにエサを与え、約21日で羽毛が生えそろうまで世話をする。この後、ヒナ鳥は鳥類の中でもほかに類を見ない渡りを行う。初めての渡りで、カナダのニューファンドランド島沖の越冬地まで1000キロを泳ぐのである。
ハシブトウミガラスの仲間は海洋油濁と刺し網にはとても弱い。毎年の伝統的な狩猟で、カナダの原住民は繁殖地近くにいるこの鳥を撃つ。沖からグリーンランドに渡る間に捕獲されるものもいる。