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淡水の生態系は、世界各地で何万という生物種と何億もの人間の生命を支えている。巨大魚保護プロジェクトを率いる水生生態学者のゼブ・ホーガン氏は、その貴重な生態系の中でも最も危険にさらされてる場所へ足を運ぶ。絶滅が危惧されている魚種は言うに及ばず、それらの魚種と生活圏が重なっている人々の暮らしを守るため、日夜奮闘しているのだ。

Photograph by Brant Allen
ホーガン氏はアメリカのアリゾナ大学で生態学と進化生物学を修めた後、フルブライト奨学金を得て、タイ北部に位置するチェンマイ大学の環境リスク評価プログラムに聴講生として参加した。帰国後はカリフォルニア大学デービス校に進み、アメリカ国立科学財団(NSF)の研究資援を受け、生態学博士課程を修了した。現在は、ウィスコンシン大学と世界自然保護基金(WWF)で特別研究員を務めている。また、ナショナル ジオグラフィック協会の新しいプロジェクト・リーダーとして、世界最大の淡水魚種の同定作業と保護活動に取り組んでいる。
ホーガン氏は、「淡水の利用を管理しなければ、絶滅種の数は増加の一途をたどるだろう。メコンオオナマズやカワイルカ、カワウソなどが生息する淡水の生物多様性は、トラやクジラのような希少動物と同等、もしくはそれ以上に保護する価値がある。熱帯雨林やサンゴ礁の保全と同じように、淡水域の保護にも取り組まなくては」と力説する。
新たな手法、投資、そして調査が、魚類と漁業コミュニティの両方に真の希望をもたらす。それがホーガン氏の考えだ。例えばカンボジアでは、絶滅の危機に瀕した魚種を漁師が捕獲した場合、ホーガン氏は生きたままその魚を買い取る。調査後、魚は標識を付けられて漁網にかからない下流に放流される。この活動により絶滅の危ぶまれる魚種の存続が保たれるほか、科学者は回遊パターンや生息場所の利用方法、死亡率を洞察することができる。こうした情報が禁漁区の創設やカンボジア漁業の持続性向上につながるはずだとホーガン氏は期待している。
「科学だけが魚類保護の手段ではない。教育や奉仕活動も同じように重要だ。絶滅危惧種の保護という概念がまったく浸透していない地域も多く、その活動を地域住民に紹介し、身近に感じてもらう必要がある」とホーガン氏は説明する。
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